TARO(天河)

芸術は爆発だ!」の至言で有名な伝説的芸術家、
岡本太郎の生涯を描いた「TAROの塔」と言うドラマが
今年上旬にNHKで放送されたのですが、
これをご覧になった方っておられますかね。


お恥ずかしながら僕はあまり岡本太郎さんのことは
よく存じ上げていなかったのですが
(件の名言や万博のことはさすがに知ってますが)、
ドラマの脚本を僕の尊敬する大森寿美男さんが担当すると言うことで、
放送の事前に太郎さんの経歴をちょっと調べてみました。
予備知識を蓄えておいて、ドラマを更に楽しもう、と。


岡本太郎の人となりを初めてじっくり調べてみて、
なんと言うか、もうブッ飛びました。
太郎さんの言葉を借りるなら、まさに爆発。
芸術家として大成してからの太郎さんの事跡やスタンスは
改めて説明するまでもなく素晴らしいのですが、
その人となりを形成した、幼少期の環境がまたスゴい。
良かれ悪しかれ、“芸術の聖家族”と呼ばれたことにも大納得でした。


個人的には、やはりなんと言ってもご母堂のかの子さんのインパクトが
とてつもなく強烈でした。
「これをどうやって映像化するんだろう…」とスタッフでもないのに
途方に暮れたもんです。
人智を超越した凄まじき人生としか言いようがありませんし…。


そして、始まった初回「太陽の子」。
度肝を抜かれました、ええ。
寺島しのぶさん演じるかの子さんは資料で調べていた以上に強烈で、
一平さん共々「この親にして、あの太郎あり」と
素直に頷ける人物造形となっておりました。
脚本・演出・演技の三本柱が完璧で、
なおかつ120%のエネルギーで視聴者に肉迫してくる。
それが「TAROの塔」でした。


何しろ毎回見終える度に僕のほうもクタクタになっていましたよ。
岡本太郎と言う爆発的なパワー、NHKの本気パワーにすっかりアテられてしまった感じ。


総集編まで放送されたと言うことは、相当に評判が良かったのでしょうね。
「ハゲタカ」といい「TAROの塔」といい、
土曜日は全く油断がならないぜ(笑)。


かなり個性の強いドラマなので、エネルギー満タンにしてからでないと
芸術の爆発によって吹っ飛ばされてしまうかも知れませんが、
必見の価値アリと太鼓判を押しますよ。
2011年で最も印象に、かつ記憶に残るドラマでした。
だって、僕、寺島しのぶさんのかの子に夢でうなされましたもの。
(それだけインパクトが強かったのです)


岡本太郎さんのように最後の一瞬まで創作を愛し続けられる人生は
本当に素晴らしいと憧れる半面、
小市民の身分としては、あそこまで豪快にあらゆることを笑い飛ばすことは
出来ないなぁと思ったりして(笑)。
大阪万博のアイジャック事件に関するコメントなんて、まさに芸術の爆発でした。


神聖なものへの理解は、最近では柘植伊佐夫さんが太郎さんのそれに通じるものがあると
著書を拝見して思いましたね。
おふたりとも僕にとっては現代の奇傑です。