結構な爆弾発言…多分(天河)

最近、友人知人に「もう中学生」のことを訊かれる機会が多くて困ります。
彼と縁が深いことを迂闊に喋ってしまったことを今更ながら後悔しています。
何を隠そう天河真嗣、うらぶれた一発芸人こともう中学生とは
高校の同級生なのですよ。
同級生どころか一時期ですが、あいつとはバイト仲間でもありました。
クソ寒い倉庫の片隅で一緒に汗水垂らして働いた仲間。
同じ釜の飯を食ったことはありませんでしたが、そこそこ仲は良かったと思います。
彼の家にも遊びに行ったことあるし、最近まで普通にメールのやり取りしてたし。
当時から下手なりに喜劇を書いていたので、「ビリー・ワイルダーやトム・シャドヤックの映画は
参考になるよ」と笑いの参考資料をオススメをしたり。
以前運営していたサイトでは彼をモデルにした短編まで書いてたりします。
もう中学生を主役にした小説を世界で初めて書いたのは僕だと
ハッキリ明言しておきたい(笑)。


そんな彼が高校卒業を間近に控えたある日、バイト帰りにそっと僕に
打ち明けてくれたんですよ。
卒業したら吉本興行の養成所に入るんだ、と。お笑い芸人目指すんだ、と。
彼のお笑い好きはクラスでは有名でしたし、学園祭では実際に単独ライブなんかも
やったりしていました。
今の芸風とは似ても似つかぬ下ネタばっかで見てらんなかったけど。
とは言え、夢を持つことは良いこと。僕もその頃は彼のことを
素直に応援していたので、大胆な進路を打ち明けて貰ったときは嬉しかったですね。
それも「天河君にだけ教えるけど」って。
ま、次の日、学校に行ったらみんなが知っていたと言うオチがついたんですが。


思えば、それが彼の人生の中で最もウケを取った大ネタだったのかも知れません。
彼の黄金時代を知っている身としては、テレビでの露出が増え始めてからの
「もう中学生」は坂を転げ落ちるようにして才能を枯渇させているように
思えてなりません。
テレビで彼の芸を見、その都度、クスリとも笑えず、差し出がましいとは思いながらも
「違う! 彼はイジられてナンボなんだ! とろサーモンばりの冷徹なツッコミが
傍にいてこそ輝くんだよ!」とケチをつけてしまいます。
水泳の授業で海パンを脱がされた挙げ句、プールで胴上げされたり、
更衣室でブリッジまでしてウケを狙った男が、どうしてこんな無害なネタを
やるようになったのか!
友達の口論に仲裁に入ったは良いものの(しかも別の人に嗾けられて)、
何故かもう中学生のほうに双方から攻撃の矛先が向けられ、
最終的に彼一人が割りを食って周りは円満と言うオチが待っている。
そんなクラスの潤滑油的存在だった彼はどこに行ったのか!
まるで似せるつもりのないのに、それが独特の可笑しさを醸し出す
得意の物真似をどうして封印してしまったんだ! 
室井参事官と峰不二子の物真似の酷さは天下一品だったじゃないか!


イビり倒されるのが日常茶飯事で、だけどみんなから愛されていた男、もう中学生。
その黄金期を知る僕はあえて言いたい。
子供も安心して見られる芸風との評判なんてクソくらえです。
彼はもっともっと尖っていなきゃアカンのです。尖ってこそ輝くんです。
さながら渡米して苦戦するかつての教え子を見、臍を噛む思いでいる白髪鬼のように、
毎度毎度、ケチをつけまくってます。
人気者への僻みと嘲笑いたければ好きにされよ!
笑いの第一線で頑張る同世代の友人にして同志だからこそ、厳しいことを言うのです。
彼の原点を知ってなきゃこんな応援はできません。


トロイメライ>は僕が高校の時分に書いたシナリオがベースになっています。
そこには実は当時のもう中学生をモデルにしたキャラも登場してたりします。
僕が当時書いたのは、やはり相方にイジられまくるお笑いキャラ。
有名になってからの彼とは似ても似つかぬ芸風の、
けれども彼が最も輝いていたと思える瞬間を切り取ったキャラ。
果たしてそのキャラに登場のチャンスがあるのかは今のところ未定ですが、
僕はこれからも「もう中学生」を応援し続けます。
基本的には愛の鞭と言うか、「いい加減、地元帰ってきたらいいのに」とか
「来年の今頃は危ないよね」とか陰湿な難癖つけるだけですが(鬼)。


僕のデスクには、今、ロケ班のももりんから貰ったもう中学生の
成人式のときの写真が貼ってあります(ももりんも高校の同級生)。
魔除けって言うか、逆に魔を呼び込みそうだけど、
まぁ、彼がテレビから姿を消す頃にはこの写真も恋しくなるんだろうなぁ(これも愛の鞭!)。