ヒッグス粒子の研究者たち(天河)

昨日のことですよ。
友人と物理学や量子力学等の話になりましてね、
次第に宇宙は平坦とか、平行宇宙とか、そう言ったサイエンス寄りの話題に移っていき、
最終的には軌道エレベーターだとか全力全開でSFへ行き着いたのですけど、
そこでハタと、とあるテレビ番組のことを思い出したですよ。


僕の記憶が正しければ、確かNHKのクローズアップ現代だったと思うんですが、
謎の素粒子こと「ヒッグス粒子」の発見が世間を騒がせていた頃、
世界中から集まった研究者たちを取り上げた特集番組が放送されまして。
ヒッグス粒子の分析、研究に用いる加速器の部品は、
日本の下町で、それもどこにでもいそうなおばちゃんたちが腕まくりで作っているとか、
国際的なプロジェクトの裏舞台を紹介していたのですが、
個人的にはそうしたジャパンパワー以上に研究へ取り組む科学者たちのスタンスと言うか、
メンタルの置き方がすごく興味深かったのですよ。


研究のスキームは、当然、緻密な計算の上に組み立てられているのですが、
それを実行する人々が言うことは、なんと言うか、全然理論的ではないんですよ。
研究の成果がもたらす発展の委細を理詰めで説くどころか、
ヒッグス粒子ってマジすげーよ。どれぐらいすげーかって言うと、マジすげー」ってなカンジ。
割とマジで。ホラ吹いてるわけじゃなくて。
例えとして正確ではないかも知れませんが、
話に聴いていた海を初めて自分の目で見て、
その大きさに感動してハシャぐ子どもとあんま変わりませんでした。


あくまで僕の、一個人の私見ですけどね。
それでも僕の目には、人類の進化がウンタラカンタラって
お題目を掲げて研究に没入すると言うよりは、
世紀の発見をみんなで楽しんでいるように見えたですよ。
RCカーを持ち寄った子どもたちが一斉にサーキットを走らせて、
巧く走行させられるような工夫やテクニックを思いついて、
ワイワイガヤガヤと楽しむような…。


んで、それ見て思ったわけですよ、僕は。
国際的な場で活躍する偉大な博士たちとは比べものにならないほど
お粗末で足りないアタマではありますけど、
何かを楽しむこと、そこに傾ける情熱ってのは、
人間、誰しも共通なんだなーと。
興味を抱く対象や方向性は千差万別ですが、
心の働きはそう変わるもんじゃない、と
件の番組を見て考えさせられたわけです。


研究そのものに意義があり、
成果が人類の発展に繋がるような人たちとは全然違う場所で、
全く異なる方向性のサイエンスに思いを馳せていますが、
多分、僕らは似たもの同士なんだと思います。
比べるのは、大変に烏滸がましいんですけど。