2011年総括〜2012年序章(天河)

と言うわけで、2012年大晦日です。
今年一年間<トロイメライ〜その声を忘れないから>を
ご愛顧いただきまして誠にありがとうございました。


2011年。
振り返ってみると、本当にいろいろなことがありました。
トロイメライ>レギュラーシーズン開始と言う、
このプロジェクトにとっても非常に大きな意味を持つ一年ではありました。
しかし、今年を象徴する出来事は、
なんと言っても3月に発生した東日本大震災ではないでしょうか。


トロイメライ>もこの未曽有の震災と無縁ではありませんでした。
3月から数ヶ月・社会が落ち着きを取り戻すまでの間、一切の更新作業をお休みさせていただきました。
東日本大震災に際して、自分にできることは何か。
そのことに気を取られるあまり、短慮に走りそうにもなりました。
感情任せではいけない。自分にできることを冷静に考えよう。
僕自身の混乱を鎮めるのに少し時間を要しました。


今だから打ち明けられることですが、
東日本大震災と言う国難に直面し、
また、錯綜する数多の出来事に僕は心身のバランスを大きく崩していました。
これまでにない深刻なスランプに陥り、一時は絶筆を考えることもありました。
正直なところ、もう一度、筆を執るまでに回復できたのは奇跡だと思います。
いっそ自分の全存在に見切りをつけて、何もかも幕を引こう。
終わりにしよう…そんな風に思いつめた時期もありましたから。


もしかしたら、打たれ弱いものだと呆れられるかも知れません。
そう言われても仕方ない。
一時的とは言え、極限に近いコンディションへ陥っていました。


それでもどうにか立ち上がることができたのは、
大切な仲間たちの支えがあったればこそ。
「あいつ、本当に死ぬんじゃねぇか?」とまで心配されるような状態の僕を
仲間たちの言葉がどん底から引っ張り上げてくれました。


今年は絆を考えさせられる一年だったと言われています。
世間がどのように締めくくり、絆の一字を選んだのかは想像に難くありません。
僕にとって絆の一字が意味するところは、仲間に頼れるようになった、これにつきます。


製作総指揮と言う立場上、自分に甘えを許せず、かなり無謀なこともしてきました。
結果、焦りがいつまでも思考にこびりつき、
何をしても先に進まない、進んでいるように思えない悪循環が生じます。
自分が牽引しなくては、先々で立ち行かなくなる。そんな強迫観念がつきまとっていました。


今年、僕はそれすらできなくなりました。
ずっと走り続けてきたけど、立ち止まることしかできなくなりました。
でも、そのとき、周りに仲間たちがいてくれました。
精魂尽き果てた僕を叱咤激励し、気持ちを入れ替える術を授けてくれました。
弱さをさらけ出した僕に嫌がることなく手を差しのべてくれた仲間たち…。
このどん底の状態を経て、初めて僕は本当の意味で仲間に頼ることができるようになった気がします。
甘えではなく“頼る”と言うことを。



まだやれる。
俺は<トロイメライ>をまだやれるんだ。



だいぶ時間を費やしてしまいましたが、
“頼る”ことを自分の中で素直に受け入れられるようになり、
ようやく天河真嗣は復活を遂げました。これが僕にとっての絆・一文字です。


2012年、<トロイメライ>は更なる進化を遂げます。
2012年内に掲載するエピソードは既に全話分の初稿が出揃っていますが、
2011年で培った経験をベースにしてより洗練されたものになるでしょう。
サウンドトラックの配信も始まります。
多岐にわたるコンテンツの展開にもご期待ください。


それでは良いお年を!
来年もよろしくお願いいたします。